PRODUCTION NOTE[プロダクションノート]

本作の企画は2015年、「シン・ゴジラ」の製作決定の発表と同時にスタート。とにかく大作の便乗が義務の私が、ゴジラと同時に怪獣映画をやらない手はない。昔「スター・ウォーズ」が公開前に東宝と東映がそれぞれ「惑星大戦争」と「宇宙からのメッセージ」を製作した手と同じだ。向こうは超大作の本格怪獣ものになるはずだから、こちらもなんか怪獣モノを…。しかしゴジラに対抗してナントカラとかナントカラスとかいくら名前つけたって、単なるアマチュア特撮の拡大版ととられてしまうだろう。こっちは腐ってもプロだ。(もうとっくに腐っていやな臭いがしているが)しょせんは怪獣モノだろう。そうだ、どうせゴジラは大ヒットするから、同時期にゴジラが満員で入れなかった客がほかに何か映画やってないか、と調べた際に、「おっ、ゴジラのほかにも怪獣モノやってんのか」という展開になって題名もそのまま「大怪獣モノ」にしたら笑えるな。そういう理由とともに、しょせんは「怪獣モノ」を作ってる大人子供であり、偉そうなこといっちゃいけないと思うわけである。 いつも通りのネーミングのしゃれでこの映画企画はスタートした。

怪獣もので、ミッシングリングの作品がある。「フランケンシュタイン対地底怪獣」と「サンダ対ガイラ」だ。ゴジラが延々と続いているのに対し、人間型の巨人が戦う特撮映画はこれしかない。 この二本はミニチュア特撮が頂点に達した本多・円谷監督の傑作だ。

フランケンシュタインを宇宙人にして、ウェットスーツを着せたのがウルトラマンであり、生身の巨人が戦う特撮映像はこの二本で途切れている。もし、ウルトラマンにならず肉体巨人の特撮映画が続いていたら…。これをコンセプトに、生身ならではの迫力の「怪獣プロレス」の決定版を作ろう、と思いたった。

プロレスラー対怪獣。そのレスラーは当然天才でなければならず、それは新日本プロレスとDDTに同時所属という前代未聞の契約をして活躍している飯伏幸太選手しかいない。

早速オファーし快諾をいただき、2015年冬撮影で段取りを組んだが、まさかの怪我による長期欠場、レスラー生命の危機の可能性も、と聞き、当然出演もお断わり。目の前が真っ暗になった。彼の代わりがそうそういるわけがない。しかし、くじけない私はあっと驚く大物たちに代役オファーを続けるが、決定打はなく、暗澹とした気持ちで正月を迎えた。年明け、朗報が飛び込んできた。飯伏選手が復活したのだ。これで当初の予定とおり、ゴールデンスターの才能を300%出させるだけだ。

また最大のポイントであるキャスティングも見事にはまり、三月にクランクイン。

埼玉県毛呂山町のロケ全面協力も得て、ナイトオープンの怪獣出現シーンもあるハードな撮影からスタート。日大医学部の実際の研究所のシーンは、実にリアルに仕上がり、博士役の真夏竜さんの怪演が光った。東映撮影所のモブシーンには、150人もの人たちがノーギャラで参加していただいた。

会議室のシーンも古谷敏さん、堀田眞三さんはじめヴェテランの芝居もバッチリ決まり、飯伏選手が不安がっていた初体験の演技も、キャバクラ豪遊、赤井沙希とのキスシーンもうまくこなした。スパイのシーンでは北岡龍貴さんのアクションも冴え、毛呂山町での約100名のモブシーンも終わり充実の本編終了。

メインの特撮は東映撮影所の第二スタジオにセットを組み、ここしか空いていなかったという奇跡のスケジュール調整も決まった鈴木みのる選手も参戦し、スタッフ全員埃まみれになりながら激闘の二日間を終えた。

その手ごたえは、私の今までの映画の中でも最高に近い。乞うご期待!!

河崎 実

©2016『大怪獣モノ』製作委員会